重大インシデントとは?羽田発NY行きJL006便でエンジンから出火騒ぎ
2018/01/14

2017年9月5日、羽田空港発ーアメリカ・ニューヨーク行きのJL0006便が羽田空港から離陸する際に、エンジンから出火し緊急着陸をしました。
国土交通省はトラブルを受けて「重大インシデント」に認定しました。JALは今年度初めてのケース認定で2015年以来となりました。
今回のJL006便のトラブル概要から重大インシデントとは何なのか、どのように決めているのか、過去の認定例などを見ていきたいと思います。
Contents/目次
今回のトラブル概要
- 2017年9月5日
- 日本航空006便(JL006便)
- 羽田発ーニューヨーク行き
- ボーイング777-300ER
- 機体番号:JA743J
トラブルは滑走路から離陸する際に突然発生しました。
112番スポットから出発したJL0006便は、羽田空港C滑走路へと向かい、管制の許可をもらい離陸を試みました。
しかしその際に機体左側の第一エンジン(GE製90-115B)から出火し、離陸から約1時間後の12:09分に緊急着陸しました。
タービンブレードの損傷が原因ということが報告されています。幸いにも乗客と乗員合わせて248人に怪我はありませんでした。
離陸から着陸まで時間がかかったのは、ニューヨーク便ということで燃料をたくさん積んでいた影響で、房総半島の沖合で最大着陸重量になるまで燃料を投棄して羽田空港へと引き返すことで事なきを得ました。
9/5 JL6/JL006 HND → JFK
離陸後のエンジントラブルにより、房総沖で最大着陸重量まで燃料投棄後羽田に引き返した。 pic.twitter.com/sMfCAKxW0G— pinkpois0n x 赤林檎族 (@pinkpois0n) September 5, 2017
重大インシデントとは
そもそも今回JL006便が認定された「重大インシデント」とはどのような事態を指すのでしょうか。
飛行機と鉄道の、事故には至らないものの深刻に危険だった事件のこと。
自動車運転などでは「ヒヤリ・ハット」「危うく大惨事になるところだった」と言われる事例。重大インシデントは国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会が認定する。
航空法第76条の2では、航行中に他の航空機との衝突・接触の恐れがあった場合と、「事故が発生するおそれがあると認められる国土交通省令で定める事態が発生したと認めたとき」(同法)は機長が国土交通大臣に報告することが義務付けられている。
この報告義務が発生する事態を重大インシデントという。
重大インシデントとは、あと一歩で大きな事故に繋がる可能性があった重大トラブルを指します。
国土交通省が事故の原因をチェックする過程で大抵の場合、判断をします。
今回のケースでは、9月5日にトラブルが発生、翌9月6日に事故調査結果の速報を受けて重大インシデントとして認定をしました。
JALは今後、全てのGE製90-115Bエンジンの再チェックと、今回トラブルになったエンジンについても分解してより詳しい調査をしていくということを発表しました。
また重大インシデントは決して大型機に限ったことではありません。
- 小型機
- ヘリコプター
- 滑空機
- 飛行船
など、空を飛ぶものは大きなトラブルを起こしてしまうと全てが重大インシデントの対象となる仕組みになっています。
もっと言えば船舶や鉄道業界においても重大インシデントと呼ぶことがあるので、共通して「大きな事故に繋がる恐れがあったトラブル」を指しています。
過去の認定例
日本では過去に、旅客機(大型機)トラブルにおいて、どのような事件が国交省によって重大インシデント認定されているのでしょうか。
- 2017年2月14日:エアアジアX(使用中の滑走路へ着陸試み)
- 2017年1月19日:ANAウイングス(オーバーラン)
- 2016年12月22日:ピーチ(閉鎖中の滑走路へ着陸試み)
- 2016年7月19日:ジェットスター(機体の複数箇所故障)
- 2016年5月27日:大韓航空(脱出スライドを使った非常脱出)
- 2016年5月27日:ANA(機体の複数箇所故障)
オーバーラン、他の航空機が使用している滑走路へ着陸しようとしてしまった、飛行中に機体の複数箇所が故障し安全な運航に支障が生じたケースなどが重大インシデントとして認定されています。
大型機においては年間数件のペースで重大インシデント認定されるトラブルが発生している現状です。
小型機などの重大インシデントも含めると年間10件ほどの発生件数となっています。
まとめ。
2017年9月5日、羽田空港発ーアメリカ・ニューヨーク行きのJL0006便によって発生してしまったエンジン出火トラブルを見てきました。
国交省はトラブルの度合いを見て、非常に危険だったと判断した場合には「重大インシデント」認定をしています。
小型機を含めると年間10件ほどが重大インシデントとして認定されていますので、いつ自分がその飛行機に乗ることになるかは分かりません。
ほとんどの便が安全に運航をしていますが、限りなくゼロに近い確率ですがそれでも飛行機に何らかのトラブルが起きていますので初めて乗る航空会社の飛行機は「脱出ルート」を確認しておくことや、飛行中はシートベルトを締めておくなど私たちにできる対策はしていくべきだと思います。
重大インシデントにこそなりませんでしたが、数日前にも香港航空が緊急着陸するという事件が起こりました。
4月には大きな話題となったユナイテッド航空のオーバーブッキングトラブルや、てるみくらぶの破産トラブルもありましたが、これらのトラブルが今後の教訓として、二度と起こらないことを願っています。
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